——“やめる”ではなく、“ちょうどいい”を見つけよう
「先生、コーヒーって飲まないほうがいいですか?」
「健康診断の前は控えた方がいいんですよね?」
そんな質問を、日々の診療でよくいただきます。
カフェイン=不眠、動悸、高血圧……
こうしたイメージから、
「健康を意識するならコーヒーはやめたほうがいい」と考えている人も多いかもしれません。
でも私は、医師としてこうお伝えしています。
「コーヒーは、“悪者”ではありません。
むしろ、適量なら、体にいい効果もたくさんあるんです。」
この記事では、
・コーヒーの健康効果とリスク
・1日の適量の目安
・“やめる”ではなく“整える”飲み方のヒント
を、医学的な根拠と日常の感覚のあいだで、バランスよくお届けしていきます。
■ コーヒーは本当に体に悪いのか?
まず、はっきり申し上げると:
コーヒーそのものが健康に悪い、という証拠はありません。
むしろ、最近の研究では、コーヒーに含まれるポリフェノールや抗酸化物質の作用によって、
・糖尿病
・心血管疾患
・認知症
・一部のがん
などのリスクを下げる可能性があることが示されています。
📊 健康に良いとされる「適量」は?
世界的に推奨されているのは、
1日1〜3杯程度のコーヒーです。
ただしこれは、ブラックまたはごく少量のミルク入りが前提。
たとえば:
- カフェラテ(砂糖なし)→ OK
- シロップ+ホイップ入りの甘いドリンク → NGに近い
“コーヒー”と呼ばれる飲み物でも、内容によって健康効果は大きく異なるのです。
■ カフェインが与える良い影響
✅ 覚醒・集中力アップ
カフェインは中枢神経に作用し、
・眠気を抑える
・集中力を高める
・反応速度を上げる
といったパフォーマンス向上効果があります。
✅ 血管保護・抗炎症作用
ポリフェノールやクロロゲン酸といった成分が、
動脈硬化や慢性炎症のリスクを下げる可能性があります。
✅ 排便促進作用
「朝のコーヒーでスッキリ」が習慣化している人も多く、
胃腸の動きを刺激する作用も報告されています。
■ カフェインの“とりすぎ”が引き起こすリスク
とはいえ、過剰な摂取は逆効果。
一般的には、1日4杯以上(カフェイン300〜400mg超)がリスクラインとされます。
❌ 不眠・中途覚醒
→ 特に午後3時以降の摂取は、睡眠の質を下げる原因に。
❌ 動悸・めまい
→ 心臓が敏感な人は、交感神経優位状態が悪化しやすくなります。
❌ 胃の不快感
→ 空腹時に濃いコーヒーを飲むと、胃酸過多や胃痛の原因になることも。
つまり、カフェインは“少量で有効、過剰で有害”な典型的な成分です。
だからこそ、「飲み方」や「タイミング」が重要になるのです。
■ 医師が勧める、健康的なコーヒーとの付き合い方
以下は、私が実際に患者さんに勧めている“無理なく整える”コーヒー習慣のヒントです。
☕ 1. 1日2杯をベースにする
→ 朝と昼に1杯ずつ。これで大抵の人にとって“最適ライン”です。
🌙 2. 午後3時以降はノンカフェインに
→ デカフェ、ハーブティー、白湯などに切り替えると睡眠への影響を防げます。
🍽 3. 空腹時は避ける or ミルク入りを選ぶ
→ 胃が弱い方は、“ブラック=健康”にこだわらないことが重要です。
📱 4. 「集中したいときだけ」のルールを作る
→ “なんとなく”ではなく、“意図を持って飲む”ことで摂取量を自然に減らせます。
■ 「コーヒーは好き。でも心配」な方へ
実際、多くの方が
「好きだから飲みたいけど、体に悪そうで不安」
という感覚を抱いています。
でも私の立場からお伝えしたいのは:
「コーヒーを“やめる”のではなく、“自分の生活の質を上げる飲み方”を見つけましょう」
- 疲れた午後に一息つくため
- 朝のスタートを切る儀式として
- 誰かと過ごす時間の潤滑剤として
そうした**“心の回復”につながっているなら、コーヒーはむしろ健康の味方**です。
■ Truvitaが目指す「暮らしに寄り添う医療」
Truvitaは、医療を“禁止と指導の場”ではなく、
**“一人ひとりの暮らしと調和する選択を支える場所”**だと捉えています。
たとえば:
- 睡眠とカフェインの関係を記録して整える
- 胃の不調とのバランスを日々調整する
- 「コーヒーをやめずに、整える」方法を一緒に探す
そんな**“制限ではなく、デザイン”としての健康支援**を日々行っています。
■ 最後に:「飲みすぎないこと」より、「心地よく飲むこと」
コーヒーは、
・緊張をゆるめる
・心をリセットする
・創造的な時間を生み出す
——そんな“日常の質”を高めてくれる存在です。
だからこそ、
“健康のためにやめる”のではなく、
“自分にとっての適量とタイミング”を見つけてほしい。
「好きだけど、ちょっと気になっている」
その気持ちがあるだけで、あなたはもう健康に向かっています。
コーヒーと、自分の身体とのちょうどいい距離感——
それを一緒に見つけていきましょう。
—— Truvita