🩺「健康診断、毎年やる必要ある?」という問いへの答え

——大切なのは、数字を見ることではなく、“背景を読み取ること”

「会社の健診、なんとなく毎年受けてるけど、正直、意味あるのかな」
「結果を見ても“異常なし”って書いてあるし、あまり気にしてない」

——こんな声を、診察室でよく耳にします。

健康診断。
それは、年に一度、なんとなく義務感で受けて、
「とりあえず終わった」と書類をしまって終わる——
そんな存在になってはいないでしょうか?

でも私は、医師として伝えたいのです。

健診の価値は、“受けること”ではなく、“読み解くこと”にある。

この記事では、
・本当に見るべき健診項目
・“毎年”受ける意味とは?
・数字の背後にある“生活のサイン”
・主治医と一緒に活用する健診の読み方

をテーマに、あなた自身の「健診との向き合い方」を見直すヒントをご紹介します。


■ 健診は「健康かどうかを見るもの」ではない

そもそも健康診断の目的は、
**「病気を早期発見すること」**ではありません。

それはもちろん重要な機能のひとつですが、
もっと大切なのは、「日々の生活が体にどう反映されているか」を知ること。

つまり、健診は**“今のあなたの生活の鏡”**でもあるのです。

たとえば:

  • 食生活の乱れが、コレステロールや血糖に現れる
  • 睡眠不足やストレスが、肝機能や体重に影響する
  • 運動不足が、腹囲や血圧にサインとして現れる

「数字」には、あなたの暮らしの軌跡が刻まれているのです。


✅ 毎年チェックしたい“3つの基本項目”

毎年の健診で特に注目すべき項目は、以下の3つです。


1. 肝機能・血糖・コレステロール

この3つは、いわば**“生活習慣病の入口”**。
食べ方、飲み方、運動の仕方、ストレス管理など、
日々の選択が如実に反映されます。

**異常なし=安心、ではなく、去年よりどうか?**を意識しましょう。


2. 心電図(特に40代以降)

不整脈、心肥大、狭心症のリスクなど、
**症状が出にくい“隠れた心臓のサイン”**を拾う重要な検査です。

特に、家族に心疾患のある方、ストレスの多い方は注意が必要。


3. 体重や腹囲の“変化”

数字の大小よりも、「増えた?減った?」が重要。
わずかな増減にも、ホルモンバランス、筋肉量、代謝の変化が隠れています。


■ 「正常値だから安心」は、時に危険

多くの人が、「基準値の範囲内=問題なし」と思い込んでいます。

でも実際には、

  • 基準値内でも「前年より大きく変化」している
  • 下限ギリギリ/上限スレスレで「不安定」になっている
  • 数値は正常でも、「症状」が出ている

といったケースが、非常に多くあります。

健診結果の“正常”は、あくまで「機械的な判断」
本当に必要なのは、“その人にとっての”正常かどうかを見極める目です。


■ 医師が読み解く健診結果の“背景”

私たち医師が健診結果を見るとき、
数字そのものよりも、「なぜそうなったのか?」という背景のストーリーを大切にします。

たとえば:

  • コレステロールが上がった → 夜遅くの食事?間食の頻度?
  • 肝機能が悪化 → 飲酒の量?ストレス?睡眠の質?
  • HbA1c(血糖の指標)が微増 → 運動量の低下?体重変化?

こうした**“日常の積み重ね”に目を向けることこそ、健診の本当の意味**なのです。


■ 「毎年やる意味ってあるの?」という疑問について

たしかに、20代〜30代の方からは、
「毎年受けても変わらないし…」という声もあります。

でも実は、“変わらないこと”を確認することもまた、ひとつの大きな成果です。

そして、数年単位で緩やかに悪化する変化に気づけるのは、毎年受けている人だけ。

たとえば:

  • 体重が毎年1kgずつ増える
  • HbA1cが0.1ずつ上がる
  • 中性脂肪が少しずつ基準を超えていく

これらは“急には気づけない”からこそ、年単位の連続データが大切なのです。


■ 健診結果は、“誰と見るか”で意味が変わる

健診の紙を一人で見て、
「ふーん、大丈夫そう」と片付けていませんか?

でも、本当は、健診結果は“会話”のきっかけにすべきものです。

医師と一緒に:

  • 変化を振り返り
  • 日々の生活を紐づけて
  • これからの健康プランを考える

こうした“読み解き”こそが、健診の本質です。


■ Truvitaが提案する「健診の活かし方」

Truvitaでは、
主治医として**「健診結果を毎年、暮らしの地図にする」**ことをサポートしています。

たとえば:

  • 健診後のフィードバックセッション
  • 数年分の結果を俯瞰し、傾向を可視化
  • 食事・運動・睡眠との関係を紐づけた説明
  • 必要に応じた再検査や専門医紹介

これらを通じて、“健診を受けた瞬間”ではなく、“結果を受け取ったあと”の健康支援に力を入れています。


■ 最後に:数字よりも、“背景”を見る

健診の数字に一喜一憂する必要はありません。
でも、“去年と同じだから安心”でもありません。

数字の奥にある、暮らしの積み重ね。
それに気づくことで、人生の質は確実に変わっていきます。

「健診は、健康を評価する場ではなく、健康を再設計するきっかけである。」

そのような捉え方で、
あなたの健康診断が、単なる義務から**“未来を育てる時間”**へと変わっていくことを願っています。

—— Truvita

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