😴「何時間寝ればいいですか?」という問いに、医師として答えるなら

——大切なのは“時間”より、“質とリズム”

「先生、何時間くらい寝たら健康なんですか?」
「やっぱり8時間寝ないとダメですか?」

こうした質問を、診察室でよくいただきます。

睡眠——それは、日々のパフォーマンスにも、心と体の健康にも直結する、大切な営み。
だからこそ、“何時間が正解か”を知りたくなるのも自然なことです。

けれど、私はいつもこうお伝えしています。

「大切なのは、**“どれだけ寝たか”ではなく、“どんなふうに眠れたか”**です」

つまり、“量”より“質とリズム”

この記事では、睡眠に関するよくある誤解を解きほぐしながら、
あなたが今日からできる「睡眠の整え方」について、医学的な視点と実体験を交えてご紹介していきます。


■ 「何時間寝ればいいですか?」という素朴な問い

まず結論から言うと、推奨される睡眠時間の目安は以下のとおりです。

📊 年代別・推奨睡眠時間

  • 20〜30代:7〜8時間
  • 40〜50代:6.5〜7.5時間
  • 60代以上:6〜7時間

この数字は、あくまでも“平均的な目安”です。
実際には、年齢・生活リズム・体質・ストレスの有無などによって、大きく個人差があります。

たとえば:

  • 6時間でも日中シャキッと動ける人もいれば、
  • 8時間寝ても眠気が取れない人もいる。

つまり、「何時間寝たか」だけでは、睡眠の良し悪しは測れないのです。


■ 睡眠の“質”を左右する3つの要素

では、“質のいい睡眠”とは何でしょうか?
私は以下の3つを重視しています。

1. 寝つきの良さ

→ ベッドに入って30分以内に眠れるかどうか。

2. 中途覚醒の有無

→ 夜中に何度も目が覚めていないか。

3. 目覚めたときの感覚

→ 「よく寝た」「疲れが取れた」と感じられるか。

これらが揃っているなら、
**たとえ6時間でも、“満ちた睡眠”**になっている可能性があります。

逆に、どれだけ寝ても目覚めが悪い・日中に眠気が残るなら、
それは“量”ではなく“質”に問題があるというサインかもしれません。


■ 睡眠を乱す「現代的な生活習慣」

実は、現代人の多くが気づかぬうちに、睡眠の質を下げてしまう生活を送っています。

たとえば:

  • 寝る直前までスマホを見る(ブルーライト)
  • 不規則な食事とカフェインの摂取
  • 夜遅くまでの仕事や思考活動
  • 運動不足による“疲れなさ”

これらが少しずつ、睡眠の質を下げ、
「寝た気がしない」「朝がつらい」状態を慢性化させてしまうのです。


■ 医師が勧める「質の良い睡眠」の習慣

以下は、私が患者さんにお伝えしている“実践しやすい”睡眠習慣です。


🕰 1. 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる

人間の体内には「概日リズム(サーカディアンリズム)」という“24時間時計”が備わっています。

このリズムが乱れると、睡眠の深さ・ホルモン分泌・体温調節が崩れ、
疲れが取れにくい体質に変わってしまうことも。

まずは、休日も含めて「±30分以内の睡眠・起床リズム」を目指すのがおすすめです。


☀️ 2. 朝日を浴びる

起床後30分以内に自然光を浴びることで、
脳が「朝になった」と認識し、睡眠ホルモン(メラトニン)のリズムも整っていきます。

※曇りでも効果があります。カーテンを開けるだけでもOK。


🍵 3. カフェイン・アルコールの摂取タイミングに注意

  • カフェインは寝る6時間前までに
  • アルコールは“寝つきを良くしても、眠りを浅くする”ので要注意

「寝る前に飲む習慣」がある方は、
まずは量やタイミングの調整から始めるのがおすすめです。


📱 4. スマホ・PCは就寝1時間前までに

ブルーライトは、メラトニンの分泌を妨げ、入眠を遅らせます。

夜は照明を落とし、
読書やストレッチなど“アナログな時間”でゆるやかに脳を休めていく——
それだけで、眠りの質は確実に変わります。


■ 睡眠に関する「間違った思い込み」

意外と多いのが、睡眠についての“自己流の思い込み”です。

たとえば:

  • 「昼寝はしてはいけない」→15〜20分程度ならOK
  • 「長く寝れば寝るほどいい」→寝すぎも倦怠感の原因に
  • 「寝酒で眠れるなら大丈夫」→深部睡眠が削られ逆効果に

医師として大切にしているのは、
“情報”ではなく“状態”を見ること

「何時間寝てるか」ではなく、
「今の眠りで回復できているか?」という実感が最も重要です。


■ 睡眠の不調は、心のサインかもしれない

眠れない理由が、
・不安
・緊張
・怒り
・孤独

——といった“感情”にあることも、少なくありません。

この場合、対症的に睡眠薬を使っても、
根本的な解決にはならないことが多いのです。

医師として必要なのは、
「眠れていない」事実よりも、
「なぜ眠れていないのか」に目を向けること。

だからこそ、睡眠の悩みには、
生活・心・体のすべてを視野に入れた医療が必要だと感じています。


■ Truvitaが大切にしている“眠りとの向き合い方”

Truvitaは、主治医契約型サービスとして、「症状を診る」のではなく、「暮らしを整える」ことを使命としています。

睡眠に関しても、

  • 定期的な問診と状態チェック
  • 生活習慣のカスタマイズ提案
  • 睡眠日記やアプリを活用した記録
  • 必要に応じた専門医連携(睡眠時無呼吸・うつ病など)

といった、“医師が伴走するスタイル”で睡眠の質向上をサポートしています。


■ 最後に:眠りの質を整えることは、“人生を整えること”

睡眠は、人生の1/3を占める行為です。

けれど、「眠りが浅いまま何年も過ごしている」という方も、意外と多い。

健康診断の数値だけでなく、
**「毎朝どんなふうに目覚めているか」**を、医療はもっと大切にしてもいいはずです。

薬ではなく、生活を整えることで得られる安心。
それは、何よりも強くて確かな“医療のかたち”だと、私は信じています。

「どれだけ寝たか」ではなく、「どう眠れたか」。
その視点から、あなたの毎日が静かに変わりはじめるかもしれません。

— Truvita

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